4

「不良って言ったって、所詮同い年のガキじゃん。そんなにビビることないと思うけど。それに俺、逃げ足速いし」

 金山を同い年のガキ扱いする奴を初めて見た。山口は転入してきたばかりだから、金山の強さを知らないのだろう。っていうか、さりげなく逃げ足とか言ってるけど、一緒に居る時俺売られるんじゃないのか、こいつに。疑いの眼で山口を睨むが、奴は大丈夫大丈夫とそれしか言わなかった。

「ほら、早く連絡先」
「……はい」

 渋々携帯を取り出すと、すっと手が伸びてきて奪われた。そのままカチカチと操作されて、俺の携帯はすぐに手元に戻ってきた。

「それじゃあ連絡するから、ちゃんと連絡しろよ?」
「う、うーん…」
「しろよ?」

 笑顔で圧力をかけられ、俺は引き攣った笑みでこくこく頷く。
 教室付近にまで行くと、視線が凄かった。皆が俺たちのことをぎょっとした顔で二度見していく。視線には慣れてきたけど、ここまで視線はもらわない。

「…山口は視線、気にならないのか?」
「視線? 別に気にならないかな。見られることには慣れてるしな」

 うわ。俺はむっとして山口を睨む。山口はにやりと笑って、わざわざ口に出す。「俺モテるからなあ」



[ prev / next ]



[back]