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「いや、それはちょっと…」
控えめに断るが、男はいいから早くしろと聞く耳を持たない。携帯を出せと脅され、仕方なく取り出す。それを奪われ、勝手に操作された。そして耳に当てる。まさか電話!?
いや、電話でも、メールでも俺だと分かった時点で無視だろ。もしかしたら、キレてでるかもしれないけど。何パシリの分際で電話してきてんだ、みたいな感じで。
金山の反応を予測していると、男が俺に、にやりと笑いかける。
「お前のパシリは預かった。返してほしかったら屋上へ来い」
なんかそういうような言葉どっかで耳にしたことがあるぞ…。
満足げな表情の男に微妙な顔をしていたら、俺の顔に気付いた男が脛を蹴ってきた。俺は蹲って脛を押さえる。物凄く痛い。
あれ、ていうか…金山、電話出たのか。キレて出たのか? 少し気になって自分のスマホを眺めるが、男の耳から離れたそれは、俺の方へと飛んできた。
「わ、」
慌てて受けとる。落ちていたら傷が出来てしまうところだった!
男はそんな俺を嘲笑うように見て、踵を返す。
「よし、屋上に行くぞ」
金山は来るわけがないから時間の無駄だと思う。しかしそれを言うことはできず、俺は黙って男の後ろを歩いた。
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