▼ 21
「それじゃあ、また明日来るよ」そう言って、シュウは去って行った。
「遠野」
代田の心配そうな声が耳に入る。俺は布団をぎゅっと握りしめた。顔を上げると、代田が近寄ってきた。
「もしかして、まだ体調が悪いか?」
「…いや、もう大丈夫だ」
「そうか」
俯いていたからだろうか。体調について訊ねてきた代田に笑って返すと、代田も顔を緩めた。
「それならさ、ちょっと行きたいところがあるんだけど」
「行きたいところ…?」
「うん」
どこだろうか。頭に色々な場所を浮かべながら頷く。出かけるなら用意をしなければならない。流石にスウェットのまま出るのはな。あと寒い。本当に風邪引くかもしれない。クローゼットを開けると、生地が厚い物を選んで取り出す。
「あ、じゃあ、外出てるな」
「おう」
代田は、俺が風呂に入る時や着替える時傍を離れる。四六時中いるのもストレスが溜まるし、裸を見られるのは若干気まずいものがあるから、代田が気を遣える奴で良かったと思っている。
代田が部屋から出て行ったのを確認し、服を脱ぐ。ひんやりとした空気に晒され、再びぶるりと震える。スウェットに着替えた時のように素早く服を着て、ふうと息を吐く。
「――あ」
俺は思い出した。まだ見ていない加奈からのメールを。
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