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「好きな奴に会って、生前に言えなかったことを言えて満足したでしょ?」
「べ、別に今すぐじゃなくてもいいだろ。もうちょっと後で…」
シュウは不機嫌そうに俺を睨んで、溜息を吐いた。
「そう言って、いつまでもここにいられたら困るんだよね」
言い返そうとしたが、言葉に詰まってできなかった。心の奥で、ずっとそばにいればいいと思っていたのだ。いなくなるなんて、なんだか信じられない。もう近くにいることが当たり前になってしまっていた。
「僕が今日来たのは、アンタの安否の確認と、話し合わせてさっさと成仏させるためなんだよね」
だから、早く。そう言いたげなシュウの顔。俺は代田に顔を向けた。代田は情けない顔をして、俺とシュウを交互に見遣った。
成仏は、未練がなくなった幽霊がするもんじゃねえのかよ。代田の顔を見ろよ。まだ未練がありますって顔をしてるじゃないか。――代田も、黙ってないで、何か言ってくれよ。
俺の思いが伝わったのか、代田が強張った顔で、口を開いた。
「……分かった」
「代田!?」
耳を疑った。代田の言葉は、俺が望んでいたものではない。信じられない気持ちで代田を見つめていると、代田は申し訳なさそうに、一度だけ謝った。それからすぐに顔を引き締めると、シュウに向かって頭を下げる。
「……でも、一日だけ待ってくれ。頼む」
「…本当に一日だけなんだろうね?」
「ああ、約束する」
「…ふーん。じゃあ、いいよ。一日だけ待ってあげる」
「ありがとう」
笑みを浮かべる代田を興味なさそうに一瞥し、ふんと鼻で笑うと俺たちに背を向ける。俺が唖然としている間に話が終わってしまった。待てと声をかけたかったが、やっぱり今成仏しろと言われたら最悪だ。俺はぐっと堪えて俯いた。
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