▼ 15
俺は勢いよく起き上がる。急に動いたせいでぐらりと体が傾いた。なんとか踏ん張り、部屋のドアを開けた主を睨む。相変わらず可愛い顔をしているシュウがいた。
安心したけど、でも、これ不法侵入だぞ。どうやって入ったんだ。
「なんだ、思ったより元気そうじゃん」
しかも、全く悪びれる様子もなく、なんだとか言っている。俺はひくりと頬を引き攣らせた。
「…あの、もしかして、鍵開いてた?」
もしかしたら、鍵が開いていたのかもしれない。それならば俺の不注意だ。ただ、開いてるからといって入るのはどうかと思うが。
「いや、閉まってたよ。開けてもらったんだ」
…誰に? 管理人さんとかにか?
シュウはそこで、ちらりと横に目を遣る。呆れた顔であのさあ、と声を出した。
「いい加減出てきたら?」
俺はシュウの横に視線を移す。そこには何もいない。家の中に誰かが隠れているっていうのか?
しかし姿を現したのは、代田だった。情けない顔をして、シュウの後ろに隠れるようにして立っている。幽霊に立っているという表現でいいのかちょっと分からないが、足は床に付いているのだから立っていると言いたくなる。
ところでなんて顔をしているんだ。俺の疑問は、シュウによって解消された。
「アンタの体調不良は、こいつの所為だから」
「……え?」
こいつと言いながら代田を指差す。代田が申し訳なさそうな顔をしてごめんと謝った。
「こいつが僕のところに来て、アンタが寝込んでるっていうから来たんだよ。で、鍵はこいつに開けてもらったわけ」
代田が? 幽霊なのに鍵を開けられるのか? そういえば代田はベンチに座ることができた。この一週間物を触っているところは見たことはないが、鍵を開けられるということは、普通に人間のように生活できるのかもしれない。ただ、実体がなくて、他人に認識されなだけで。
「でも、どうして代田が…?」
代田を見る限り、故意にしたことではないだろう。じゃあ、何でだ? 首を傾げて、眉を顰めた。
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