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「こ、こわそ〜」
彼女が唖然とフリーフォールを見上げた。彼女も絶叫系が苦手なのかもしれない。悪魔が喜びそうだなあと横目で確認したら、なんと、詰まらなそうにしていた。見間違いかと何度も瞬きして奴を見る。視線に気づいたのか悪魔がこちらを向いた。そして、ニヤアと笑う。
「俺、端っこ乗るから。で、お前俺の隣な」
「え、お、俺…!?」
彼女ではなくて。彼女が口を開いて――すぐに閉じた。きゅ、と唇を結んで涙を堪えているいるように見える。ずきりと少しだけ罪悪感を覚えた。
「じゃあ俺も君の隣に」
にこにこして俺の肩に手を回すそいつに顔を引き攣らせる。何故お前まで隣に。いや、確かに俺の隣に誰かが座らなければならないけれど。わざわざ言う必要はないだろう。これも作戦の一つ、か? とりあえず俺はこの隙に彼女を慰めた方が好感度が上がると思うんだけど、どうだろうか。しょんぼりとした彼女の方へ平島を向かせたが、ん? と不思議そうな顔をするだけで、効果はなかった。駄目だこいつ。
「よっし、乗るぞー!」
「……うぜ」
平島だけテンションが高かった。俺は悪魔の言葉に小さく頷いた。
「うわ、顔凄いよ」
平島が俺の顔を見て目を丸くする。「今にも昇天しそうだ」
「苦手なんだ、こういうのは…」
「ふーん、そうなんだ。あ、次ジェットコースター乗らない?」
どうでもよさげに返事された上に、苦手って言っているものを勧めてくるくるこいつも中々良い性格をしているな。
「……皆、乗ってきていいよ。俺、ちょっと休憩」
「ええ? 休憩って、まだ来たばっかじゃないか」
不満そうな平島を睨みつけて黙らせる。平島は肩を竦め、じゃあ後でとさっさと歩き出してしまった。自分から言い出したとは言えこうもあっさりだと少し悲しい。
「さ、斎藤くん。行こう?」
悪魔は俺を一瞥する。そしてふいっと視線を外すと、彼女と共に平島の後を追った。
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