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「尋も…っ?」
明の悲痛な声にずきりと胸が痛む。
――…俺?
「お、俺…は」
声が擦れた。俺は明のことが好きだったけど、でも…。
ちらりと永良を見る。永良はじっと俺を見つめている。俺の答えを待っているようだ。
「俺は……俺も、明のこと好きだった。でも」
「っ! もういい! お前らなんか知るか! 絶対許してやらないんだからな!」
「あ、明…」
「お前なんかが俺の名前を呼ぶな!」
明はそう叫ぶと、保健室を飛び出していった。保健室は一気に静かになり、俺は息を吐く。少し頭が痛い。
「っし、寝るぞ」
「ぐえっ!」
襟首を掴まれベッドに投げ出された。げほげほと咳き込んでいると、後ろから腕が伸びて腰に回った。
「ちょ、え、お、おい」
「まだ顔色が悪い。寝ろ」
だからなんでこの体制なんだよ! 他のベッド使えばいいのに、何故わざわざ…。そこまで考えてはっとする。
「な、永良…。こういうの、好きな奴にやった方がいいと思うんだけど」
「だから今やってんだろ」
「え」
「お前が好きだっつってんだよ」
「え、……!?」
どきっと心臓が跳ねた。おおおお俺のことが好き!?
「な、なんで…」
「日に日にやつれていくお前見てたら、ほっとけなくなって気がついたらな」
こっち向けよ、と言われ腕の力が緩み、そろそろと向きを変えた。至近距離に端正な顔があり、目を逸らした。
「…返事はまだいい。でも、覚悟しとけよ。絶対に落としてやるから」
「そ、それは――」
ないから、と続けようとしたときに、額になにかが触れた。それが唇だとすぐに気づき、顔がじわじわと赤くなる。
「結構脈ありかもしんねえな」
にやりと笑った永良に違うと叫んで、俺は目を瞑った。
次の日から永良の猛アタックが始まることを、この時の俺は知らない。
fin.
中途半端!
以下登場人物紹介です。
結城 尋(ゆうき ひろ)
王道爽やか。腹黒ではない。
明のことが好きだった。
永良 隼人(ながら はやと)
王道不良。
明のことが好きだったが…。
佐藤 明(さとう あきら)
アンチ系王道主人公。
自分が愛されてないと満足できない。
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