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「マサちゃん、俺と付き合わねー?」
「…え、付き合う、って」
「うん、俺マサちゃんのこと好きだし、マサちゃんも俺んこと好きっしょ? だから付き合お」

 俺は頷いた。
 付き合うっていうのがどういう意味か分からなかったけど、どんな意味でも良かった。俺はチカちゃんが全てだったから。
 だから。……何も言わずに俺の前から消えてしまった時は、裏切られたような気がした。









「うげ…」

 朝。目覚まし時計が鳴る前に目が覚めて、起き上がる。隣に目を移すとチャラ男じゃなくなったチカちゃんの姿。ベッドは譲らなかったし、別の場所で寝てと言ったんだけどなぁ…。普通あんな態度とった人間の側で寝ようとは思わないっしょ…。なんつーか、こういうとこは変わってないんだなぁ。
 目覚まし時計をオフにしてベッドからそろりと降りる。チカちゃんを起こしてしまったら面倒くさい。
 今日は誰かん家に泊まらせて貰おっかな。そんなことを考えていると、布団の中でもそりと動く物体。うげげ。

「…まさ、」

 どきり。
 掠れた声は低くて以前とは違う声だったけど、甘さが微かに残っている。そんな声で呼ぶなと言いたい気持ちをぐっと堪えてチカちゃんから視線を外す。

「ばーか…」

 チカちゃんの馬鹿。なんで今更、俺の前に。
 無性に泣きたくなって、俺は急いで部屋を出た。


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