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真樹さんと入れ替わるようにして、花満さんが奥から出てきた。
「守屋さん!」
笑顔でこっちに近付いてくる。可愛らしいなとそれを見ていると、迫を見て不思議そうに首を傾げた。
「? お友達ですか?」
皆同じこと訊くんだな。
また迫が答えるだろうと思っていたが、迫は何も答えない。何故だ。どうしておばさんには愛想がいいんだ。
仕方ない。迫が言わないなら俺が答えるしかないだろう。俺は無言で頷いた。すると迫は目を見開いて俺を見た。頷くとは思ってなかったのかもしれない。
「へえ、そうなんですか! あ、私花満愛華っていいます。宜しくお願いしますね」
「……ああ」
少しの間があった後、迫は頷いた。お前が愛想良くなる基準はいったいどこにあるんだ?
「迫」
「なんだ?」
首をこっちに向けて訊き返してくる迫。なんとなく、その目が優しいような気がする。迫にこんな風に見られたことは今までになかったから、なんだかムズムズする。付き合ってた時でさえ、なかった。まあ、あれは質の悪い遊びだが。あれ? そう思うと俺はこいつに嫌われてるはずなのに、どうして一緒にいるんだ? しかも嫌々やってるわけじゃなさそうだ。
よく分からないな。こういうのって、訊いてもいいものだろうか?
「花満さんは俺より花に詳しいぞ」
「……はぁ?」
「だから、」
花満さんに訊いた方がいいんじゃないか。
そう言おうとしたら、ぐしゃりと迫の顔が歪んだ。
あ。と思っても時既に遅し。
「俺は! 俺は、お前じゃねえと嫌なんだよ!」
迫は勢い良くそう言って、はっと口を押さえた。
俺は嬉しいのかなんなのかよく分からない感情のまま迫を見つめた。
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