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約束通り放課後は迫を連れて花屋に向かっていた。会話はない。ちらりと迫を見ると何だか難しそうな顔をしているので、そっとしておいた。
「あれ、渉」
後ろから声をかけられ、俺は振り向いた。真樹さんが少し離れたところに立っている。制服を着ているから、真樹さんも今帰っているところなんだろう。会釈すると、にこにこと笑って近づいてきた。すると、いきなり迫が真樹さんを威嚇するように睨みだした。一体どうしたんだ。あいかわらずよくわからないやつだな。
「今日も家来るのか?」
「はい」
「そうか――…で、えーと…なんで俺こんなに睨まれてんの?」
困ったように眉を下げる。迫は大きく舌打ちをすると、顔を逸らした。おい、態度が悪いぞ。…まあ、迫っていつもこんな感じか。最近ちょっとおかしいところもあるが。
「友達だよな?」
「いや…」
「そうだ」
え、そうなの?
俺は一瞬そう思って、すぐにいや違うだろと心の中で否定した。
「ふーん、そうか」
真樹さんは嬉しそうに笑った。いつ見ても眩しい笑顔だ。
「初めてだな、お前の友達見るの」
…まあ、そうだろうな。友達いないし。
そして、その言葉に迫の眉がぴくりと反応した。そして「ふ、ふーん」と上擦ったような声を出す。そしてさっさと歩き出した。俺はその背中に声をかけた。
「迫」
「あ?」
立ち止まってくるりと振り返る迫。俺は右を指差した。
「こっちだぞ」
沈黙。
迫は無言で戻って来た。
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