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 普通に映画を観られると思った俺が馬鹿だった。こいつが俺と遊びに行くなんてことするはずないのに。何で期待してしまったのか。
 どんよりとしている俺を見て、加治は楽しそうにしている。やっぱり、こいつは勇者というより、悪魔だ。

「さて、次はどこ行く?」

 まだ行くのかよ。もう帰らせてくれ。俺の悲痛な叫びは心の中に留まり、口に出すことはなかった。

「なんだよ、行きたいとこねーの? じゃあ俺決めるけど」
「ほっ」
「ん?」

 やばい、このままではまた変な嫌がらせを受けてしまう。俺は慌てて加治の嫌がらせを受けなそうな場所を口にした。

「本屋がいい」
「……本屋ね。まあ別にいいけど」

 俺は心の中でガッツポーズする。この不満そうな顔。これで嫌がらせをしてこないだろう。俺は自然と笑みを浮かべていた。

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