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 息が止まるかと思った。ガラス越しに目があったそいつは――加治だった。加治もちょうどこっちを見た瞬間だったようで、目を見開いてる。そして、その横には見たこともない女がいる。立ち止まった加治を女が不審そうに見る。
 
「あっちゃん?」

 後ろから肩を叩かれた、俺はびくりと震える。

「わっ、ごめんびっくりした?」
「ちょ、ちょっと」

 俺は振り向き、苦笑する。加治と鉢合わせても、あいつ表向きは爽やか少年だから変なことは言わないだろうけど。でもあいつと友達とでも思われたら嫌だ。
 流石に、店の中にまで入ってこないよな?

「えっと、何?」
「違うところも見てみる? そろそろ良い時間だし、ご飯も行こう」
「え、あ」

 なんでこのタイミング。俺は顔を引き攣らせた。

「? まだ見たい?」

 この店の服は全体的に俺の趣味に合ってない。流石に何度も拒否していたから、俺の反応が疑問なんだろう。


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