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顔が赤いのを隠そうと慌てて料理を口に運ぶ。
「……うまい」
「だろ? まあ俺様だしな」
ナニコレほんとに冗談とかお世辞抜きで旨い。つい夢中になってあれもこれもと手を伸ばす、けど。
「う、けほっ、」
「オイオイんなあわてて食べるからだっての。大丈夫か」
呆れたように言って、背中を叩いてくれた。最近分かったけど、先輩は優しい人だ。俺様って性格だし人を見下している節があるけど、優しさが垣間見える。
咳が落ち着くと、次に先輩は頭を撫でてきた。撫でてきた、というより掻き回す感じだったが。
「ちょ、やめてくださ――」
――と、顔を上げた時。額に温かくて柔らかな感触があった。一瞬なにが起こったか分からなかったが、直ぐにそれが先輩の唇だと気付くと、さっきのが比でないくらい顔に熱が集まった。
「俺は帰る。じゃあな」
してやったりという自慢気な表情で嵐は去っていった。
俺がこのドキドキの正体に気付くのはもう少し先の話。
→後書き
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