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 顔をずい、と近づけられる。端整な顔がドアップになって、思わず顔を赤くした。いや、違うんだ。これは国分寺先輩がかっこよすぎなわけで、俺は断じてホモではない!
 国分寺先輩は口元を俺の耳へ近づけ、熱っぽい息を吐きながら囁いた。

「俺様と寝られて、よかっただろ……?」

 この人が言うとただ寝ただけなのに、エロく聞こえるのは何故なんだ…!
くらくらとするのをどうにか抑えて国分寺先輩の体を精一杯の力で押す。するとすんなりと体は離れた。

「何だ、つれねえな。でも、顔が真っ赤だぜ? 流石は俺様だ」

 本当にこの人俺様って言葉が似合うな。
取り敢えず此処、布団から出なければ色々と危ない。出よう、即刻出よう。それに寝間着は汗がべったりと付いてて気持ちが悪い。シャワー浴びたい。




 自室から出ると何故か国分寺先輩も着いてきた。やっと帰るのか、と安堵していると何故か俺よりも先に風呂場へと消えていった。
 え、何してんのあの人。
 若しかして、否、若しかしなくとも。シャワー浴びてるよな、絶対。何処までも俺様というか、フリーダムな人というか……。何だか頭が痛いぞ…。
 暫くするとすっきりした表情で風呂場から出てきた。何故着替えを持っているのかと訊きたい。こういうことが前にもあったならここに着替えを置いていることに納得できるが。これは国分寺先輩の性格から考えて正しいと思っていいだろう。
 溜息をつきながらすれ違う。ハル、苦労してたんだなお前……。今更ながらハルに同情してしまった。
 汗を流し、国分寺先輩同様すっきりとした表情になった俺は、リビングに戻る。もういい加減帰っただろうと思っていた俺には信じられない光景を目にした。

「えっと、先輩…。何をしているんですか」
「ああ? 朝飯食ってるに決まってんだろ」

 色取り取りの食材が綺麗に並んでいて、それを食べているのは分かっている。
しかし訊きたいのは何故ここで食べているのかということだ。
混乱しているとお前も食べろ、と言われたので大人しく席に着く。いい匂いに思わず腹が鳴る。

「えっと、いただき…ます」
「おう、俺様が作ったんだ。残さず食べろよ」

 ちらりと国分寺先輩を見ると、嬉しそう微笑んでいたついかあ、と顔が赤くなる。いや、今のは先輩に色気がありすぎたからで俺はホモではry

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