流麗学園


 ――すいません調子に乗りましたほんとにすいません。
 俺は堂々と藤堂馬鹿死ね(藤堂って誰だよ)などと落書きが書かれているボロボロな校舎を遠い目で見つめ、早くも現実逃避しそうだった。ってかもう既にしてます。
 この流麗学園について説明しよう。山奥に隔離された全寮制の男子校で、金さえあれば馬鹿でも入れるという不良や馬鹿にはありがたい学園だ。金持ちが集まるのも当然で、寮に入らせておけば安心という親たちがいる生徒が多いようだ。
 だがそれも逆効果というもので、この学園に入った生徒たちは好き放題。親の目が無いからといってやり過ぎだろうと思う。
 俺がここにいる理由は単に頭が悪かっただけなのだが(見た目から頭がよさそうに思われるが)、入るまではこんなに好き放題しているとは思っていなかったのだ。でなければこんなところ好きで入りたいと思わない。寧ろどんなことがあっても地元の高校受けただろう。今更言っても仕方ないけど。
 そして金持ちの中でも不良が多い。理由は分からないが、思春期だからな。色々あるんだろう。昔は不良も一般生徒も同じ部屋で同じように生活していたのだが、案の定というか問題が起きてしまった。一つ問題が起きると俺も俺もと続々と問題を起こす生徒がでてきて、困った理事長は考え付いた。
 不良を隔離しよう、と。隔離という表現は生徒に使うものじゃないだろうと思うが、まあそんなこんなで不良たちは隔離された。そこでできたのが北区、西区、東区、南区、そして中央区。今まで俺が生活してきたのがこの中央区。平凡な生徒や多少素行が悪いが問題はない生徒、特待生など不良ではない生徒が集まる区だ。
 対して他の区は全部不良が集まるところだ。どんだけ不良多いんだよって感じだけど。区にはランク付けされていて、ちょっと悪いことをした人たちは南区、それよりも悪いことをした人たちが北区、ギリギリ大丈夫だという人たちが西区。そして、肝心の東区といえば。

「手のつけられないお手上げ集団……、か」

 平和に中央区で暮らしていた俺は噂でしか東区のことを知らない。その噂は犯罪者がいるだとか前科有りにだとか、ヤバめのものしかないけど。ランクでは一番東が上であるが、具体的に何をしたら東へ移される、というのは未だ謎だ。

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