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「あっ、俺は八橋誠な。好きなものは某レースゲーム! 使うのは緑の恐竜! 宜しく!」

 激しくどうでもいい情報を入手してしまった。俺が白けた目で見つめているのにも関わらず、愛おしそうにコントローラーを撫でた。き、気持ち悪い…。
 って、そんなのホントどうでもいい! 早くしないと俺の安否が心配なんですけど!

「あの、包帯とか消毒薬をお借りしたいんですが」
「あれっ、早速パシリ…」
「じゃないです! ……、多分」

 ……あれ、いや、これってパシリなのか? おい、やきそばパン買って来いよ的な!?
 俺が黙ると、八橋先生はにやりと笑って棚の方へ歩き出した。

 「ぎゃああああ」ぼおっとしていると、八橋先生の奇声と何かの音(しかも結構大きい)が聞こえた。驚いて視線を向けると、俺は更に驚いた。棚を開けると色んな物が雪崩を起こして床に落ちていたのだ。

「えええええ」

 何故そんなことに!? 呆然として八橋先輩を見つめたが、八橋先輩は薬の山から包装されたままの包帯やら消毒薬やらと抜き出して何事も無かったようにそれを俺に差し出した。いやいやいや、仮にも薬品を落としたら駄目だろ! ビンとか割れたらどうするんだ。
 しかも渡されたものは予想以上に多い包帯と救急セット(包帯がトイレットペーパーみたいに大きいってどういうことなの)で、俺は危うく転びそうになった。

「やっぱり持てないかー」
「いや、あの、というか片付けないでいいんですか」

 「あ、うん。今片付けるよ」八橋先生はそう言うと、適当に棚に薬品を放り込んだ。ああ、なるほど…。だからあんな風になったのか…。

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