闇に葬られた後悔 ネタバレ注意 「これを飲むか飲まないかはお前次第だ、ルル」 ぐっと押し黙るそいつを睨んで見れば、強かった瞳は揺れて視線は下へ向いた。そしてはっとして視線を俺に合わせた。 俺は見せつけるように瓶を一度横に振る。その行動にルルは唇を噛み締めた。 「どうした?」 「う……」 「ルルちゃんは俺のことが信じられないの? あんなに仲良かったのにさ。 大丈夫だよ、俺だって人の子だ。仲良かったな子に何かしようなんて思わないよ」 「な、――」 蕩けるような甘い声を出せば、目を丸くして、そして次に顔を赤に染めた。 「ふざけないで!」 子供のように声を荒げているそいつを白い目で見下ろすと、ルルは揺るぎのない瞳で俺を射抜いた。 「…飲むわ」 俺の手の中にあった小瓶を奪うと、そのまま飲み干した。 「――っ、ぁ」 ルルの意志の強い瞳がブレた。飲みきれなかった赤い液体が口から顎に伝う。俺は目を細めてじっと観察した。ルルは何かを伝えようと口を開閉しているが、結局無理だったようでオレンジの綺麗な瞳を閉じた。そのままどさりと地面に倒れる。俺は暗闇の中で呟く。 「結局、お前も俺のことを分かっていなかったんだ」 「っ、ぁ、」 「さあて、じゃああの詰まらない学園を潰してくるかな」 ちらりとルルを見下ろすと、力尽きたようで微動だにしていない。その姿に胸のどこかが軋んだ音を発した気がした。俺は目を瞑ってルルを拒絶する。そうすれば幾らかましになり、そのまま体を反転して目を開けた。静寂と闇が広がっている。いつものことだ。 「馬鹿だな。お前は」 自嘲気味に呟いて、そして。 俺はまた、闇へと身を投じた。 (何より馬鹿なのは、お前を殺して後悔している俺自身だ) まさか攻略対象に殺されるとは思わなんだ…。 アルバロは最初から甘かった分、最後がダークでしたよね。 だから続編でどんな風になるか凄く楽しみです。 |