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(No side)
隆一は顔を上げると、隣を見てぎょっとした。頬をぺたりと机に付けてすやすやと眠っているチェシャ猫がいた。どきっと隆一の心臓が跳ねる。いつも隙のないチェシャ猫が無防備で眠っている。思わず手を伸ばした隆一だったが、背中に突き刺さる視線に振り向いた。
「……んだよ」
基哉はじろりと隆一を睨んだ。隆一と基哉は火花を散らして睨み合う。
「手……だめ」
「だっ、出さねえよ!」
訝しげな顔になると、基哉はティーカップをカチャカチャ鳴らしながら机に近づき、ゆっくりとおぼんを置いた。そして目を細めてチェシャ猫を見つめる。
隆一チッと舌打ち頬杖を付く。そして基哉同様顔を緩める。
「…幸せそうに寝やがって」
色々な人に会い、遊んで気持ち良さそうに眠る。そんなチェシャ猫が皆好きなのだ。基哉がチェシャ猫に毛布をかける。
隆一と基哉は無言で紅茶を飲む。チェシャ猫は紅茶の匂い匂い笑みを浮かべる。こうしてチェシャ猫の一日は終わった――。
fin.
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