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「あっ」

 僕は意図的に声を上げて、空を指さす。睨み合っていた会長さんとレンは指を追って空を見上げた。僕はぺろりと舌を出すと、会長さんとレンの背中を思いっきり押す。

「おわっ!?」
「っ!?」

 体制を立て直している内に僕は走り出した。走りながら後ろを振り向くと、呆然と立ち尽くしている会長さんと、お腹を抱えて笑っているレンの姿が見えた。
 僕は再び前を向く。

「りゅーいちくん!」

 僕は名を呼ぶと、りゅーいちくんが振り向く前にに飛びかかる。びくりとした後、ぎゅっと力を込めると、蛙が潰れたような音が聞こえて面白かった。

「な、はっ!?」
「僕だよ、りゅーいちくん」
「な、な、なにして!? っつーか苦しい!」

 僕はぱっと手を放す。りゅーいちくんの顔は真っ赤に染まっている。うんうん、やっぱりりゅーいちくんの反応はクセになるなあ。

「お、俺になんか、よ、用か」
「ん? ああ、会長さんから聞いた? あれ嘘だよ」
「は!? 嘘かよ!」

 うん、と笑うと、りゅーいちくんはがっくりと肩を落とした。

「でもりゅーいちくんに会いたいと思ってたんだ」
「えっ」

 りゅーいちくんの顔が再びぼっと赤くなる。会長さんとレン…特にレンの相手をするの面倒だったから、りゅーいちくんが見つかってよかったよ。


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