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「ふうん、じゃあちょっとだけ付き合ってあげてもいいよ」

 にこりと笑えば、会計さんは少し不満そうな顔をした。

「上から目線だな」
「そんなことないよ」

 僕は会計さんの手首を掴む。びくりと反応すると、会計さんは目を丸くしていた。その顔はほんのりと赤くなっていて、にやりと笑う。そのまま引っ張れば、慌てたような声で話しかけてくる。

「な、なに!?」
「ここにいると会長さんが来るからさ」
「え、会長が!? なんで?」
「んー、さっき会長さんが僕に会いに来て、また来る予定だから?」
「……そうなんだ。何の用なの」

 不機嫌そうに呟いた会計さんに首を傾げて意味深に笑う。

「なんか、僕と一緒に行きたいところがあるんだって」
「……へぇ」

 思った通り。会計さんは更に不機嫌になって、僕の手を外すと、今度は僕の手首を掴んできた。

「それじゃ、会長に会わないように気を付けないとね」

 ぶすりと言うと、会計さんは力強く引っ張って歩き出した。

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