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「……あ」

 木から降りて歩き始めたところで、角から会計さんが出てきた。僕はえへ、と笑うと踵を返した。

「ちょっ! どこに行くの!?」

 僕は振り向いて、小さく首を傾げる。

「えー? 別にどこに行くかなんて会計さんに関係ないでしょ?」
「関係ないっ……けど、人の顔見て方向転換するなんて感じ悪いよ」

 むっとした顔を浮かべて近づいてくる会計さん。会長さんの次は会計さんかあ。会長さん以上に面倒くさいなぁ。

「あ、そうなんだ。じゃあね」
「ちょっ!」
「なに? 何か用事なの?」
「いや用事って言うか……なんていうか」

 しどろもどろになりながら頬を掻く会計さんににんまりと笑う。

「あ、僕に構ってほしいんだ?」
「違う! ……こともないこともないことも…」

  今はゆっくりしたい気分だったけど、会計さんの反応面白いから、ちょっと遊んで行こうかな。



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