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「罪な男はレンの方じゃないの?」
「ん? 俺?」
「最近よく呼び出されて告白されてるよね」
「ああ……、え? 何で知ってんの?」
連は不思議そうに首を傾げる。
「最近気に入ってる木の上から見えるんだよ」
「なるほどね」
連はチェシャ猫を見て苦笑する。チェシャ猫は木に登るのが好きだ。金持ちのこの学園で木に登ろうとするのはチェシャ猫くらいだろう。
「俺がいつも告られてる場所の近く?」
「うん。あそこの木、気持ちいいんだ。眺めもなかなかいいしね」
チェシャ猫はうっとりとした顔で木について語るが、連は正直そんなことどうでもよかった。あの場所にチェシャ猫がいるということが重要である。あそこへ行けばチェシャ猫に会えるのだと連は笑みを浮かべる。
ちなみに爽やかな外見に騙され良く告白をされる連だが、告白してきた者に容赦ない言葉を投げつけ振るということが繰り返されていた。木の上からチェシャ猫はそれを眺め、密かに楽しんでいた。
「じゃ、俺、帰るわ」
良い情報を得た。これ以上しつこくするのは良くないと思い、連は踵を返す。少し引き留めてくれないかなと思ったが、制止の声はなかった。
「じゃあね」
連は振り返らないままひらひらと手を振った。
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