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「どうだ?」
「お、美味しいです…」
俺が食べていたものだから味を知ってると分かってるはずなのに。俺はこのバカップルのようなやり取りに顔を赤くしながら小さく呟いた。
「この俺様が食べてるもんだからな」
「ははは…そうですね」
誇らしげに言う優治先輩に苦笑しながら、俺は再び弁当をつついた。間接キスになるということに気付いたのは、唐揚げを食べた後だった。……い、いや、間接キスったって、男同士だし、そう気にするものじゃないよな…普通。俺はちらりと優治先輩を見た。先輩は気にした様子もなく、コロッケパンを平らげていた。まあ先輩はそう言うのいちいち気にしなさそうだもんな…。俺はなんとなくがっかりしたような安心したような気持ちで弁当の中身を次々と頬張っていった。
そういえば先輩、仕事忙しくなったって言ってたな。じゃあ会う機会も少なくなるのか…。瞳のことも考えなければならないから、むしろいいのかもしれない。会えないのは寂しいけど。俺ははあと溜息を吐いた。
「おい、大樹?」
それにしても、瞳にどんな顔をして接したらいいんだろう。この時間が終わってほしくないなあ。
「おい」
「へ!?」
がしりと頭を掴まれてびくりと肩が跳ねた。優治先輩を見れば、少し不機嫌そうだった。
「俺様といるってのに考え事か?」
「え…あ、す、すみません」
「何か悩みでもあるんだったら聞いてやるぞ」
瞳に先輩が好きですと言って告白を断ったらどうして。男なのに。私諦めないと言われました。……なんて、言えないよなあ。というか先輩が好きですという下りを除いても、瞳に告白されたというのも先輩に相談するのはちょっと。
「…な、なんでもないですよ」
「本当か?」
訝しげな顔で俺に顔を近づきてきて、ドキリとした。
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