生徒会長

 瞳の態度にキレそうになっていた先輩をなんとか宥め、この不釣り合い――ていうか、俺だけが浮いている――な組み合わせで学校まで行くことになった。とは言ってもそこまで距離が無いから時間はかからないが…視線が凄い。流石優治先輩。男女両方から視線を集めている。

「大樹、今日の昼飯、一緒に食えるか」
「え…」
「できれば明日も」
「はあ…まあ、大丈夫ですけど」

 俺は首を傾げて優治先輩を見上げた。週に二日。優治先輩と一緒に食べることができる。何曜日に食べるかは決めていなかったのだが、自然に水曜日と金曜日になっていた。だから月曜日である今日に誘ってくることが意外だったのだ。隣で不満そうな愛と瞳の視線に気づかない振りをして質問を投げかける。

「何か用事でも?」

 すると、途端に嫌そうな顔をして溜息を吐いた。

「…仕事がな、ちょっと忙しくなって」

 納得して頷く。生徒会長となれば、結構な仕事を任されるんだろう。俺は生徒会長なんて大きな役職を任されたことがないけど、クラス委員長なら中学の時にやったことがある。雑用なんかをやらされて面倒だった覚えがある。それの更に面倒なのが生徒会長というイメージだが…。
 それに、優治先輩は受験生でもある。勉強も忙しいはずだ。

「無理そうなら今週は別々に…」
「いや、ぜってぇ二日は食べる」
「あ、はい…」

 きっぱりと言われてしまうともう何も言えない。忙しくても一緒に食べたいと思ってくれていることが嬉しくて笑みを漏らした。

「えぇーヒロくん、今日一緒に食べれないのー?」
「まあ二日ってのは今まで変わらないんだし、諦めなって、瞳」

 むすっとした顔で不満を口にしている瞳に申し訳なく思うが、愛の言うとおり日が変わっただけだ。

「じゃあ、今日、昼にいつもの場所でな」
「はい」

 優治先輩はこっちに笑みを向けると、ぐしゃっと頭を撫でてきた。

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