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お茶とお茶請けが運ばれてきて、俺がさっき座ろうとした席に母が腰を下ろす。ニコニコしながら口を開いた。
「桜田くんは大樹とどこでどんなふうに出会ったの?」
最初の質問がそれかよ! と思わずツッコミそうになった。…どこでって言ったら、家庭科室で、どんなふうにっつったら……俺の机の中にポエム的な何か(優治先輩曰くラブレターだったらしいが)が入って届けに行ったら――って感じだよな。……そんなん言える筈ねえよ。チラリと優治先輩を見ると少し困った様子で言い淀んでいた。そうだよな、流石にスパッと言う優治先輩でも、俺たちの前でそんなことを言うことはできないらしい。
というか、どうして郁人まで困惑しているんだ。――って、そういや、俺がパシリって話してたんだっけ。
「俺が誤って大樹くんの机に手紙を入れてしまって、それを届けてくれたんです」
「あら、そうなの」
確かにその通りだ。嘘は言ってない。その手紙がラブレターで、俺がパシリになったことが省かれているからな。俺は苦笑したが、何も知らない母は素敵ねーとかなんとか言っている。……素敵って、何がだ?
いつまでも俺の家で話しているわけにもいかないので(運転手の人待たせているし)、そろそろ行こうという話になった。母は不満そうだったが、また来てねと言って優治先輩が頷くと、機嫌は直ぐに治った。
出かける前に用を足していこうとトイレに行き、戻ってくると郁人と優治先輩がいなかった。郁人はもしかしたら自分の部屋に戻っているのかもしれないが、優治先輩はどこに行ったんだろう? 外で待っているとか?
「母さん、優治先輩は?」
「郁人がちょっと話したいことがあるって連れて行っちゃったわよ」
「は!?」
何で郁人が――。と思って青褪める。郁人、まさかあの時のこととかで喧嘩を売ってないよな…? ないとは言えない。というか、話があると態々連れて行った時点でその可能性しか思い浮かばない。
「ど、どこに行ったの?」
「さあ…」
母は首を傾げる。しかし、直ぐに何かを思い出したようにあ、と声を漏らした。
「二階に上がっていったかも」
「二階か…」
俺は慌てて階段を上がる。母は不思議そうに俺を見ているのが一瞬視界に入った。
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