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「――はい」
どうして今更、とか、どうして俺にそんなことを、というような疑問は次々と浮かび上がる。しかし、気がつけば俺は頷いていた。
「呼べ」
「え?」
「呼べよ」
え、何故?
俺は首を傾げて生徒会長を見る。そして顔を引き攣らせた。凄い期待した目で見られてんだけど…!
「ゆ、優治先輩…」
「おう…」
何ですかこの付き合いたての初々しいカップルみたいな会話と雰囲気。瞳と付き合っていた頃のことを思い出すな。
ん? っていうか、生徒会長何で照れてんの?
「えっと、せ…優治先輩はどうして俺の名を?」
ずっと思っていた疑問を投げかける。
「お前のダチがそう呼んでたの思い出して」
「あ、ああ…そうですか」
そうだったのか。いや…じゃなくて、どうして馴れ馴れしく呼んでいるかをだな。再び訊ける雰囲気じゃなかったので、俺は曖昧に笑って頷く。まあ何でか生徒会長――優治先輩の俺の評価は上がっているみたいだし、別にいいんだけど。
「ああ、そうだ。あの女共は何だよ」
突然ムスっとした表情で俺を見る。あの女共――言わずもがな、愛と瞳のことだろう。何だよと言われても元カノで今は友人としか言えない。
「あいつら邪魔しやがって…」
「邪魔?」
「あ?」
やべ、と口を押さえる優治先輩。邪魔とは一体どういう意味なのだろう。
「な、なんでもねえ。気にすんな」
「はあ…」
良く分からないが、聞いて欲しくなさそうなので俺は黙る。余計なことは言わないに限るからな。
「もしかして付き合ってたりはしねえよな」
どこか不安そうに訊いてくる。…? 意外にも愛か瞳が好みだったのか? 嫌っているように見えるが、そういう風に見えただけなのかも。気の強い人好きそうだし。ああ、そういえば京って奴も気が強かったしな。
「今は付き合ってないです」
「そうか…――ん? 待て。今はって何だ今は」
ガシッと肩を掴まれ、顔を近づけてきた。視界一杯に優治先輩の端正な顔が広がり、びくりとする。ぐっと眉が寄る顔は、矢張り怖い。
「言葉通りですけど…」
「付き合ってたのかよ…。どっちだ!?」
「え、えーっと…二人共なんです、実は」
優治先輩の目が見開かれる。絶対今こんな奴にあの美少女二人が彼女だと、と思っているに違いない。男は顔じゃないんだからな!
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