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何か言うまで黙っていようと思ったが、一向に喋りださないので仕方なく口を開く。
「あの…どこに行くんですか?」
「どこでもいいだろうが。テメェは黙ってろ」
じゃあ何かしらアクションを起こせよ!
生徒会長がソッポを向いている時にぎろりと睨んだが、視線に気付いたのかなんなのか、いきなりこっちを向いて俺はすぐさま俯く。
あ、あぶねえ! 絶対視線が合ったら何睨んでんだよクズみたいなこと言われて殴られてたよ!
頭上で再び舌打ちが聞こえ、暫くの間が出来た。そして生徒会長が何かを話し始める。窺い見れば、誰かに電話していた。
「直ぐに車用意しろ。ああ、校門前だ」
え、く、車?
呆然としていると、本当に直ぐに車が目の前に来て停まった。黒光りする長いそれは……、り、リムジン…!? お、おいおい。乗るの二人じゃねえの? 他に誰か…いや、生徒会長何も言ってないし…え、マジで二人? 無駄すぎるだろ!
「おい、何してんだ。さっさと乗れよノロマ」
生徒会長の言葉で我に返り、慌てて近づくと、押し込められた。物のような扱いだ。
っていうか、広すぎじゃね…? 一般市民の車にない物を見つけ、目が輝く。生徒会長の存在を忘れ、顔を弛ませた。
「て、テレビ…。テーブル…!?」
「あ?」
「あっ、これ凄い柔らかい! 何だこれ!」
「おい?」
「え、…ぎゃあぁあああ!」
「うっせぇ!」
よ、横に…! 直ぐ隣に生徒会長がいらっしゃる! そして凄い形相で俺を見てらっしゃる…!
明らかにもっと他に座る場所があるというのに、何故か俺の隣。新手の虐めですかそれは? 俺の心臓を殺す気ですか?(恐怖的な意味で)
ってか…そっきの、見られた? うわああああ、恥ずかしすぎる…!
羞恥で赤くなっている俺は、じろじろと見てくる視線に気付かなかった。
「どちらへ行かれますか?」
「あー…いつもんとこ」
「畏まりました」
俺は気を落ち着かせるため窓に視線を遣る。車が動き出し、流れる景色を眺めていると、生徒会長が口を開いた。
「…何か喋れよ」
また無茶振りキター!
「え、あー…えっと、そういえば、最近あの件はどうですか? 進展はありましたか?」
「……あ? それは今はいい。違う話をしろ」
「え、ええ…?」
そんなこと言われても他に話題がない。早く何か見つけないと、と少し焦っていると、隣から、あ、という声が聞こえた。え、もしかして生徒会長から話題を振ってくる感じ?
「テメェ、ちょっと笑ってみろよ」
無茶振り第二弾。
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