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鳩尾に痛みが走る。突然の衝撃に俺の体は吹っ飛んだ。背中を床に強打してしまい、余りの痛さに声が出ない。
一瞬目を見開いて苦虫を潰したような顔をした生徒会長は、大きな舌打ちをして俺から視線を外した。
急いで起き上がったが、腹が痛すぎて思わず顔を顰める。これ絶対青痣出来てるだろ……。朝飯食べてなくて良かった…。もしかしたらリバースしていたかもしれない。
「兎に角、いいな。日曜日の十時に校門前だ」
返事をしないでいると、俺の直ぐ横にあったテーブルが視界から消えた。その後大きな音が響き、テーブルを蹴ったのだと青褪めながら認識した。
「っは…、はい…」
搾り出すように言葉を発すると、蔑んだ目で俺を一瞥してから早足で部屋から出て行った。うげ、返事を聞いたら即放置かよ。なんて奴だ。っていうか、これだけなら放課後で良かっただろ! 何で今なんだよ!
心の中で何度も罵倒すると、少しだけ気持ちがすっきりした。
……だが、やっぱり俺は生徒会長を好きになれそうにない。
「……で、何であんたはそんなに怒ってんの」
愛が呆れたように俺を見る。不機嫌な顔をしている自覚はあるが、この怒りのぶつけることも出来ず、このようにむっつりと口を閉ざしているのだ。
あの後、痛みも落ち着いたしそろそろ帰ろうかなと考えていたところに突然スーツを着た執事らしき人が入って来て、先程吹っ飛ばされたテーブルやテーブルが当たった食器棚などを片付け始めた。執事の人が言うには、生徒会長が片付けておけと連絡したらしい。ついでに、そこに不細工な男がいたらそいつも追い出せと言ったそうだ。何て失礼な奴!
言い返せるわけもなく、俺は顔を引き攣らせてすぐさまあの場所を後にした。
「愛ちゃんから生徒会長に連れて行かれたって聞いた時は吃驚したよ」
瞳が不安そうな顔で俺を見る。
「結局知り合いなわけ?」
「……知り合いじゃねぇよ」
思いのほか低い声が出てしまった。
「ふーん? じゃあ、何で大樹を連れてって、しかも一限の途中まで来ないの」
「俺を連れてったのは、目に付いたから。そんでパシリ目的。遅れたのは迷ったから」
「……本当?」
「ああ」
ごめん、嘘吐いて。でも説明することはできないんだ。
じっと愛を見つめると、やがて諦めたように溜息を吐いた。
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