「で、早速本題に入るが、津村に会ったっつってたな」
「はい」
「……何もされてないだろうな」

　じろじろと探るように俺を見てくる優治先輩に苦笑しながら頷く。

「とりあえず大丈夫です」
「とりあえずって何だ、とりあえずって」

　呆れたように呟くと、優治先輩は一瞬だけ目を細めてから、何もされてないならいいわ、と笑った。

「で、あの…」
「ん？」

　ごにょごにょと言い淀む。優治先輩は訝しげに首を傾げた。

「何だ、どうした」
「えーと、実は、津村に会ったのがテストの結果が張り出された時で…」
「あ？」
「すみません、先輩に知らせるの忘れてました」

　小さな声で告げると、頭を下げる。「ああ」優治先輩は思いのほか明るい声で相槌を打った。

「そういえばそう言ってたな」
「そういえばって…」

　気にしてたのに。目を細くして優治先輩を睨むと、悪かったとでも言うように頭をぽんぽんと叩かれる。


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