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 生徒会室に着くと、優治先輩がドアを開く。

「びっくりした。ノックぐらいしてくれよ」
「ああ」
「ああって、きみね…。あ、いらっしゃい」

 にこりと人のよさそうな笑みを浮かべる。確か副会長の――白木、先輩だ。俺は頭を下げる。名前は分からないが見たことはある生徒会役員の人たち一人ひとり顔を合わせて会釈をする。いきなりやってきた俺を煙たがっている様子はなく、ほっとする。

「どうぞ、入って」

 白木先輩に促され、俺は恐る恐る室内に足を踏み入れる。

「資料室使うからな」
「うん。――あ、去年の行事表取って来てくれない?」

 優治先輩は見るからに面倒臭そうな顔をしたが、俺をちらりと横目で見ると、溜息を吐いて分かったよと答える。白木先輩は笑みを深くした。……か、確信犯?

「大樹、こっちだ」

 声をかけられ、俺は白木先輩から視線を外す。優治先輩はもう資料室があると思われる場所へ向かっている。俺はもう一度会釈をして、優治先輩の後に続いた。












 ガチャリと扉が閉まった。本棚が奥にあり、手前には正方形のテーブルと椅子が数脚。もっと狭いと思っていたが、意外に広い。周りを見回している俺を見て苦笑した優治先輩が、座れと椅子を引いてくれた。

「はー…疲れた」
「何かあったんですか?」
「ああ、まあ…。それも含めて話すわ」

 …ということは、仕事関係ではなさそうだ。もしかして京や津村関係? 俺は不安になりながら頷いた。

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