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 他に気を付けた方がいいやつはいるだろうか。流石にクラスメイトには手を出さないだろう。そう考えると注意が必要なのは愛と瞳と、郁人。あとは……。

「話終わったか?」

 ……高野も、か? クラスメイトの中でも親しいし、人がいいから愛や瞳より接触してくる可能性が高いかもしれない。
 俺たちは無言で顔を見合せ、同時に高野へ向ける。


「な、なんだ?」

 高野は動揺した様子で目を瞬かせる。

「高野は津村のこと知ってる…んだよな?」
「え? まあ一応」

 見たことや会ったことはない、というようなことを言っていたはずだ。俺は瞳にした説明を高野にもした。高野はまだ状況が理解できてないようで、訝しそうにしながら相槌を打った。

「津村が話しかけてきたら教えてほしいんだ」
「はあ……なんかあるのか?」
「まあちょっと」
「分かった」

 高野は詳しく訊いてこず、任せとけ、という顔で頷く。俺はほっとして頼むと口にした。
 瞳が席を立ち、すすすと愛の後ろに隠れるように移動した。何だ? と思って瞳を見る。瞳はなんだか険しい顔で廊下を睨んでいた。視線を追うが、何もない。胸が少しだけざわざわと騒いだ。

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