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「それでさっき顔が青かったわけだ」
「愛は津村に会ったから分かるだろ? 笑顔で俺に接してきた。いきなりああいう風になったわけじゃなくて、最初からああだったんだ」
だから怖いのだ、と言うと愛は頷いた。
「あれも演技っぽい胡散臭さがあるし、気を付けた方がいいわね」
「愛と瞳も気を付けろよ」
俺のことを調べているなら、愛と瞳のことも知っているはずだ。二人の顔を見ながら言うと、二人は頷いた。この二人は警戒心が強いから多分津村に騙されるようなことはないが、暴力をふるわれたり人質にとられたりされるようなことがあれば大変だ。瞳はもとよりいくらさばさばして気が強くても愛も女の子だ。
「でも私どの人が津村って人なのか分からないし…」
俺は津村の顔を思い浮かべる。にかっと笑って八重歯が見えている顔だ。
「えーと、明るめの茶髪で、赤眼鏡で…前髪を上げてカチューシャで留めている奴なんだ。ちょっとチャラそうな感じ」
あと、八重歯。と最後に付け加える。瞳はふんふんと頷いて俺の話を聞いた。
「多分すぐに分かるぞ」
「そうなんだ」
瞳はちらりと愛を見る。愛は俺に同意するように頷いた。
「もし会ったら俺にすぐ言ってくれ」
「分かった」
優治先輩に言われたことを、今度は俺が言っている。俺は瞳の返事を聞きながら、ほんとに言うだろうかと心配になる。俺も忘れていたからな…。
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