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「ええ!」

 クラスメイトの驚いた声が耳に入った。どきどきしながらそっちへ向かうと、紙を見上げる。一位から順に目線を下げて確認していくと、一二位のところに自分の名前があった。俺は目を見開いて、それを眺める。実感が湧かず、見間違いではないか、俺の都合のいい幻覚なのではないかと不安になる。

「高浜お前頭良かったんだな!」

 先程声を上げたクラスメイトが目を丸くして俺を見る。え、本当に俺? とまだ信じきれてない俺の腕に何かが当たる。横を見ると、愛が肘で俺を突いていた。

「やったじゃん、大樹!」
「あ…」

 俺は漸く、名前が載ったのだと理解する。自然と力の入っていた肩を落とし、顔を緩める。

「ああ、よかっ……」
「おーっ! たかちゃんじゃん!」

 突然、ずしっと背中に何かが乗る。この声は……。緩んだ顔は一瞬にして強ばる。

「誰?」

 隣で愛が訝しげに俺の背後を見ている。背中が軽くなり、俺は振り向いた。

「津村…」

 津村と目が合うと、津村はにっと笑った。……学校に来ないんじゃなかったのかよ。

「津村?」
「ん? たかちゃんの彼女?」
「は?」

 津村は愛に視線を向けて首を傾げる。愛は言われた言葉に顔を顰めた。いや、その通りなんだけど、ちょっとその顔は傷つくぞ…。

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