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「ちなみに、その…いつから知ってたんだ?」
「あんた良く会長と食べてたじゃない? 仲良すぎじゃないかって見てたら会長から好き好きオーラが出てたもんで」

 す、好き好きオーラって。恥ずかしくなって顔を赤くすると、愛はニヤニヤと俺を見てきた。

「というか、瞳が気づいて私が気づかないわけないでしょ」

 …瞳が気づいたのは、俺だったからじゃないか? という疑問が浮かんだが、俺はそれ以上追及せず、ああ、と頷いた。

「ま、とにかく付き合って良かったよ。瞳も漸くあんた離れできるし」
「……そうだな」

 ほんのちょっとだけ寂しさを感じているが、ほっとしている。

「私も漸く…」
「え?」

 愛が目を細めて呟く。どきっとして目を見開くと、愛ははっとしたように目を瞬いて笑った。

「私も漸く、瞳のことを気にしなくて過ごせるなって思って」
「う…悪かったよ」

 一瞬違和感を覚えたが、それが何だか分かる前に消えていった。俺は愛に散々迷惑をかけてきたので、申し訳なくて頭を垂れる。

「別に、結構面白かったからいいけど」

 愛はにやりと笑うと、立ち上がる。鞄を肩にかけて、俺を見下ろした。

「大樹、今日は会長と?」
「いや」

 俺は首を振る。今日は早速生徒会の仕事があるそうで、会えないとの連絡があった。

「じゃ、帰ろうよ。久しぶりに、二人で」
「確かに久しぶりだな」

 いつぶりだろう。俺はそんなことを思い出しながら立ち上がり鞄に手をかけた。

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