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 京の話は支離滅裂で分かりにくかった。途中でイライラして何度か手が出たのは仕方ないよな。京だし。どんだけ傷ついても誰も気にしない。
 曰く、ヒロキは優治を自分から奪ったとか脅してるとか。誑したと脅したどっちだよっつー話だけど。ま、要約すると自分は優治とラブラブだったのにヒロキが奪ったってことらしい。ラブラブとかどうせ嘘だろうけどな。
 ふん、と鼻で笑う。俺はあのクソ野郎もクソ京も嫌いだ。この嫌いな二人がくっついたらどん底に落としてやろうと思ったけど、この京を好きになったのがまず何かの間違いで、すぐに目を覚ましやがった。だから最近は学校へ行かずふらふらしてたんだけど、高浜大樹の存在で、面白くなりそうだ。――京より、壊しがいもある。あいつがどれくらい高浜大樹に入り込んでるか、調べてみよう。
 く、と口角を上げる。鼻歌でも歌いたい気分だ。しかし視界の端に京が入ってきてチッと舌打ちする。

「まだいたの? もうどっかいってくんね?」
「なっ、なんで、そんな」
「は?」

 目を細めてぐっと拳を握れば、びくりと震える京。「ご、ごめ…っ」小さな声で俺に謝ると、バタバタと走り去った。京の姿が完全に見えなくなってから、俺は情報収集するために歩き始めた。













「へえ! そうなんだ! 教えてくれてありがとうな!」

 にこにこと笑って礼を言う。頭の緩そうな女はそのまま俺に話しかけてこようとしたが、俺は手を振り、ささっと女から離れた。こんな感じでいろんなやつに話を聞いて分かったこと。あいつと高浜大樹は仲が良い。それからあいつの性格が親しみやすいものになったらしい。高浜大樹の影響は大きいようだ。

「ごめんなあ、たかちゃん」

 お前に恨みはないんだけど。俺のために、犠牲になってくれよ。

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