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 優治先輩が夕飯を食べていくことを告げに行った郁人が戻って来て、にこにこと笑う。俺と優治先輩を交互に見て、小さく首を傾げる。

「兄ちゃん」
「ん?」
「付き合ったんだよね?」
「ま、まあ」

 俺たちが一緒にいることや雰囲気で察したのだろう。少し恥ずかしく、俺は頬を掻きながら頷いた。

「そっか、良かった」

 郁人が自分の事のように安心した顔で笑うから、俺と優治先輩は顔を見合わせて笑った。…まあ、優治先輩の親に認められてはいないから、付き合ってもまだ頑張らないといけないんだけど。今それを言うのも気が引けて、口を閉じていた。

「桜田さん、兄ちゃんをお願いしますよ」
「分かってる。もう泣かせはしねえ」

 優治先輩は俺を一瞥すると、真剣な表情になって郁人に告げる。

「それを聞いて安心しました。じゃあ、俺、色々邪魔だと思うんでもう自分の部屋に戻りますね! また、食事の時に」
「おう」

 郁人は立ち上がると、ぺこりと頭を下げて、部屋を出て行った。再び部屋には俺と優治先輩だけになる。

「大樹、あいつに話したんだな」
「ああ、はい。知ってた、って言われて驚きました」

 苦笑すると、優治先輩も同じように苦笑する。

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