勉強会

「そりゃあ、お前、気付いてるんじゃねえの」

 俺の部屋に通した後、先程のことを話したら優治先輩はあっけらかんと言った。瞳と話すことがあったため、放課後は勉強する時間をとれなかったから家に優治先輩を呼んだのだ。

「そいつの反応からして、反対してるわけじゃないだろ」

 俺は愛の笑顔を思い出す。そして、宜しくね、という言葉。確かに反対してる風でも引いている風でもなかった。俺は優治先輩に言われて、やっと安心することができた。

「つーか、そんなことより、だ」
「そんなことって」

 ちょっとむっとする俺の頭をぽんぽんと叩いた後、目を細めてじっとこっちを見つめる。探るようんな視線に、どきっとする。

「お前、俺様に言ってないことあるだろ」
「い、言ってないこと?」

 …え、な、なんだ? 

「…ええと」
「……分からないか?」
「…すみません」

 優治先輩は溜息を吐いた。そして、小さく、京、と呟く。俺はあっと声を上げた。そういえばこの前京に絡まれたのだった。

「何で知ってるんですか?」
「生徒会の奴に聞いた」

 なるほど確かに生徒会の人に京に絡まれたということを話したな。…あ、もしかして。

「あの、京のこと…郁人に話しました?」
「ああ? ああ、気を付けるように言ったな」

 だから郁人は京のことを知っていたのだ。謎が解けてすっきりした。


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