2




「げ、げぼ…っ!?」

 下僕!? 高校生の発する言葉じゃねぇよそれ!

「テメェは俺様がアイツと付き合うまで色々頑張って貰うぜ。例えばこの文章の添削とかな」

 あー…確かにその文章は不味いけど…。添削どころか大幅カットの方向で行ったほうがいいと思うけど……えっ? 俺がやるの? それ。

「逆らったらテメェの人生無いと思え」

 怖っ! この人絶対生徒会長って柄じゃねぇよ! どっかの若頭だよ!
 でも金持ちだからきっと退学させられて俺の家なんて潰されて住む町も追いやられて……ひぃぃぃ、怖っ!
 最悪な事態を想像して真っ青になると、鼻で笑われた。しかも見下すような視線で嘲笑された。

「で、返事は」
「よ、喜んで…」
「じゃあ放課後は毎日…あー、ここは不味いな。よし、俺様専用ルームに特別に入れてやる。感謝しろよ」
「は、はあ…どうも…」

 エッ? 俺様専用ルーム? 何それそんなものまであるんですか。もう規格外過ぎて突っ込むの疲れたわ…。っていうか上から目線UZEEEE!
 ……あれ、待てよ。ちょっと待て。「じゃあ放課後は毎日」…って何? もしかして毎日生徒会長に会わないといけないのか!?

「付いて来い」
「えっ、あ、あの…」
「あぁ!? 何だよ」
「ま、毎日…ですか?」
「当たりめーだろ。言っておくが俺様に恥をかかせるような文にすんじゃねぇぞ」

 いや…元々が恥ずかしい文なんだけど…。なんて言ったら俺に明日はない。っていうか、これから生徒会長のご機嫌を取りながら文を修正しないといけないのか? ハードル高すぎだろ!
 俺は取り敢えず生徒会長の言葉に頷き、それを満足そうに見て歩き出した彼の背中を慌てて追う。悔しいことに俺とはコンパスが違うので小走りだ。ここで相手に合わせないところがゴーイングマイウェイというか…紳士じゃない男は女に嫌われるぞ。
 …しっかし、背高すぎだろ生徒会長。俺だって結構タッパあるのにまだ高いって感じるとなると…百八十センチ超えてるのかもしれない。くそ、本当に完璧だ(中身以外)。これで性格も良かったら完敗だと思う。「君は優しいんだね…」とか。あ、やべ、鳥肌たった。
 無言で腕を擦っていると急に生徒会長が振り向く。俺は突然のことにびくりと肩を震わせた。

「おいカス、テメェなんか喋れよ」

 エー! 何て無茶振り!

[ prev / next ]

しおりを挟む

2/30
[back]