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 俺が真由ちゃんのことを話そうとした時だった。

「大樹ー! 迎えが来たわよ! 」
「こんにちは、大樹さん」

 母さんの後ろから現れたのは、にこにこ笑っている真由ちゃんだ。やはり真由ちゃんだったか…。俺は箸と茶碗を持ったまま愛想笑いを浮かべた。郁人を見ると、目を見開いて固まっていた。

「に、兄ちゃん…」

 ちょんちょんと俺をつついてくる郁人。俺は従兄妹だと教えてやった。そんな俺たちを見て、真由ちゃんがにこりと笑う。

「初めまして、金本真由と申します。大樹さんには色々お世話になっています」

 いつお世話したんだろう…。俺は遠くを見つめながら思った。礼儀正しい真由ちゃんに、母さんと郁人が人好きのする笑みを浮かべた。そういえば優治先輩が来たときもこんな感じだったな…。

「美形の従兄妹は美形なんだな、兄ちゃん」

 確かにそうだな。

「あの…真由ちゃん、悪いんだけど、俺まだ食べてて…」
「ええ、存じておりますわ」

 真由ちゃんの目が言っている。見れば分かると…。というか母さんが言っただろう。
 俺は時計を一瞥して、真由ちゃんに視線を移した。

「もしかして俺時間間違えてた…?」
「いいえ? でも、大樹さんの用意が出来ていたら、お連れするつもりで来ました」

 真由ちゃんは、お茶とお茶請けを持ってきた母さんに微笑み、頭を下げた。ううん…こう見たら普通の美少女なんだよなぁ…。

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