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しかも、真由ちゃんいわく、立食パーティーらしい。郁人の言う、豪華な食事を、少しだけ楽しみにしている。俺は卵焼きを口に含みながら、時間を確認する。そろそろ九時だ。真由ちゃんが来るのは十時だから…あと一時間はある。朝ごはんを食べて、歯を磨いて…あとは適当に過ごすか。
「いいなあ、俺も行っちゃ駄目かな」
「駄目に決まってるだろ」
良いとか駄目以前に、入れないだろう。招待されていない人は入れないと聞いた。きっと警備も厳重なんだろうな。俺は残念そうな声を出すが、顔はそこまで残念そうに見えない。
「あ、あのさ、兄ちゃん――」
郁人が何かを言おうとしたとき、チャイムが鳴った。俺たちは一斉にリビングのドアを見る。そしてすぐに顔を見合わせた。
「誰かしら?」
不思議そうな顔をしながら、母さんが立ち上がる。母さんを見送って、俺たちは再び顔を見合わせた。
「桜田さんとか?」
「…え、いや、でもまだ一時間ある……」
……はずなんだけど。俺は顔を引き攣らせた。真由ちゃんはそんなことお構いなしに来そうだ。そして俺に無言の圧力をかけて急かしてくる気がする。
俺の顔に、郁人は肩を竦めた。そして、にっと笑う。
「でも俺、また桜田さんと話したかったし、早く来てくれた方がいいかも。桜田さんもスーツなのかな。かっこいいんだろうなー」
「……あー、実は、来るのは優治先輩じゃないんだ」
「え? そうなの?」
郁人は目を丸くする。そういえば言っていなかったか。真由ちゃんのこと。
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