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「人間ってのは流石に分かるよな?」
「ちょっと、馬鹿にしないでよ。それくらいは分かるって。アリスとか帽子屋とか――あと女王とか耳も尻尾もないやつのことでしょ?」
「間違ってはネエが変な認識の仕方だな。アト後者の人間はちょっと怪しいゾ」
僕はYの言葉に少し首を傾げる。まあ帽子屋は確かに人間っていうより悪魔…寧ろ魔王だよね。
「まあその人間しかいない世界が人間界だな。人に獣耳をつけた容貌(かたち)はいない」
「じゃあ動物はちゃんといるんだ」
「ンで、話を要約すっと同業の奴等とオーナーのいない昨日、機械が誤作動しちまってサ、お前――チェシャ猫が普通存在できるはずのない人間界にきちまったってことさ」
ふうん、と声を上げる。俄には信じがたい話だ。
Yは困ったように肩を竦めた。
「システムが改良するまではお前はここにいなければならないんだよなァ。そこで俺は考えた。自ら監視プラスサポートして、穏便にすまそうってなァ。だからお前にはここの学園に通ってもらう」
「へぇ」
がくえんって何だろう…。
現実味がなくて信用はできないけど、何だか少しワクワクしてきた。自他共に認める飽き性の僕だ。この未知で不可解な出来事が起こったことで、退屈はしないかも。それに、Yの目は嘘を吐いているようには見えない。
「あ、こっちでの常識とかは教えてやるから安心しろな」
言葉を一端区切ると、チラリと僕の耳や尻尾を見て苦笑した。
「その耳とか尻尾は……取り外し可能とかではないよなァ?」
体の一部をどうやって取り外せっていうんだ。
僕は呆れてものが言えなかった。
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