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「え、職員室に?」
「おう、担任が来いって言ってた」
「っつーかぁ、行かなくてもいいと思うぜえー?」

 僕は空いている席に座ると、前に座って椅子ごとこっちに向けたケイタと、机の上にしゃがんで飴を噛み砕いているマサキが怠そうに言った。余談だけど、モトヤはさっき誰かに呼ばれて屋上に行ったから今はいない。

「どーせ、忘れてンじゃねぇの。あ、猫クン、飴いるかい」
「うん、貰おうかな」
「でもさぁ、後で面倒じゃね?」
「いやいや、忘れてるってー。大丈夫大丈夫!」
「いや、よくねえだろ! つかテメェ何でそんなに馴染んでるんだよ!?」

 僕はマサキに貰った苺味の飴の包み紙を開けながら二人の話に耳を傾けていた。大丈夫と何故か自信満々に言っているマサキに突っ込んだのは僕でもなくケイタでもなくりゅーいちくんだった。あ、そう言えばいたんだよね。全然言葉を発してなかったから忘れてた。
 馴染んでる、っていうかマサキは絡んでくるだけだし、ケイタはどういうことなのか「あの蹴り、効いたぜ…!」と言って憧れの視線で見てきた。……蹴ったのはモトヤなんだけど。僕じゃないんだけど。だから別に馴染んでるわけじゃな……いや、馴染んでるのかな、これ。

「つかぁ、モモオいたんだー」
「っ、モモオじゃくてシラオだっつってんだろ、但馬!」
「五月蠅いぞ、モモオ」

 誰かが呆れたように言った後に僕の目の前を高速で過ぎていったそれは、りゅーいちくんの額にクリーンヒットした。

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