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「ごめんね、話し込んじゃった」
「……さみし、か…た」

 ああ、レンと話して嫌な気分だったのが浄化していく。可愛いな、と少し上にある頭を撫でる。すると気持ちよさそうに目を細めた。睨んでいるようにも見えるそれだけど、睨んでるわけじゃないということは一緒にいれば分かる。

「嘘だろ、簪が」
「アイツ何者だよ」
「猫だな」
「そう言う意味じゃねえよ!?」
「どうでもいいけど啓太は放置?」
「あっ、忘れてた。けった、大丈夫かー」
「忘れてたのかよ!? つか棒読み!」

「…っ、ぅ、お前ら、」

 何だか凄く盛り上がってるけどさ、何これ茶番ってやつ? ケッタと呼ばれている男(因みにキツい紫の髪だ)は騒いでいる人間たちに途切れ途切れに言葉を放った。…ていうかモトヤ、キミはどれだけの力で蹴ったの。それともただケッタが弱いだけなの?

「息があるぞ!?」
「いや、なかったら死ぬだろ!」
「俺はけったじゃなくて…けいた、だ…」

 そう言って力尽きたケッタ改めケイタ。

「け、けったー!」
「けったが死んだぞー!」

 え、何これ面白いんだけど。

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