絡んだ糸(運は天にあり)

(side:隆一)

 ――提案があるんだけど。
 あいつはそう言った。ふざけた格好をして、ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべている奴。確か名前はチェシャだとか。何だよそのふざけた名前。
 E組独特の騒がしい教室に入り、窓側の一番後ろの席に座ると前の奴が振り返った。一応このクラスの頭の簪だ。

「ねこ」
「…ああ?」
「ねこ」

 こいつがまた意味が分からない奴で、内容が全く掴めない。何だよねこって何だよねこって何だよねこって! そんで何で俺は三回も同じこと言ってんだ! マジ意味分からねえよ、誰か通訳連れてこい!

「ねこ、どこ」
「動物なんてどこにもいねぇだろ、馬鹿か」
「ねこ、人」

 ああああ、もう意味が分からねえ。会話しろ会話! そして米食え! いや、関係ないけど誰かが言ってたなそんなこと。そういやあいつ、チェシャ猫って奴はこいつと会話していた気がする。あいつ何者だよ。頭が可笑しい同士、鳥が合うのか。……? 鳥だったか? 取り敢えずあれだ、…霊は友を呼ぶ。あれ、何か違うような…。
 ていうかチェシャ"猫"…って、もしかしてねこってあいつのことか?

「あいつは橘の野郎と先公ンとこ行ってんじゃねえの」
「たち、ばな、シネ」

 おいなんか物騒な言葉が聞こえたんだが。

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