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「……なっ!?」

 目を見開いてまじまじと僕を見つめる顔が可笑しくて、堪らず声を出して笑った。やっぱりヤマネに似ている。同じ反応を返してくるのだから、まるでヤマネを相手にしているみたいだ。

「っ……てめぇ、ふざけてんのか」
「でも、ここの人たちの中では一番好きだよ」

 好きっていうか気に入ってるの方が正しいけどね。そう言おうとして、りゅーいちくんは僕を信じているわけじゃないから意味はないことを思い出し、言葉を飲んだ。
 それにしても時間大丈夫かなぁ。僕は時計なんて持ってないから分かんないけど、結構な時間は経っている気がする。ふう、と息を吐くと不良君が何も言葉を発していないことに気づいた。どうしたんだろ?

「りゅ――」
「酷いなぁ、チェシャは」

 何を思っているのだろうと思って、声をかけたそのとき。明るさを含んだ声にハッとすると、睨むようにそっちを見た。

「昨日ぶりだね」
「…レン」

 いつからここにいたのだろう。僕は気配に敏感な筈なんだけど。それなのに僕は気づかなかった。……何だか悔しいな。それにしても、何が酷いと言うんだろう。僕は別にレンを侮辱するような言動は言ってない筈だ。

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