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「何でてめぇが」
「やあ、昨日ぶりだね」
「とっとと視界から消えろ!」
「ねこ、いじめ、」
「はあ?」
「モトヤは、僕を苛めるなってキミに言ってるみたいだよ」
「はあ!? 苛めてるように見えんのか? 頭湧いてんな」
「…あ、?」

 低い声を出したモトヤは、今にも殴りかかりそうだ。でもそんなことをして貰っちゃあ困る。僕は場を壊す明るい声で「はーい、やめやめ!」と言いながら二人の間に割って入った。二人とも僕がそんなことをするとは思ってなかったのか、目を丸くして動揺した。一旦モトヤの方を向いて、口を開いた。

「モトヤ、悪いんだけど僕用事を思い出しちゃったんだ。だから先に行ってくれないかな?」
「でも、」
「待ってもらうのも気が引けるし、直ぐ用事片付けるからさ」
「…ん」

 腑に落ちないという顔で渋々頷いて背を向けた。チラチラとこちらを気にしながら振り返る姿を見届けると、去るタイミングを逃したのかまだ残って固まっているりゅーいちくんに声をかける。

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