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そういえばモトヤは自分の言葉を理解してくれるのは初めてだと言っていた。もしかしたら僕が初めて友達(?)なのかもしれない。何かに役に立つかもしれないし、やっぱり(表面上)親しくするのがいいかな。幸い、カズマと親しくないってことで味方にするのが得策かも。でも少し悪いことをしたかな。だって、僕は表面上の友達――いや、いい意味で利用、悪い意味で使い捨てしようと考えている奴なのだから。なんて、僕らしくないな、こういうのは。
 猫と犬は普通仲が悪いっていうけど、本当に犬じゃないしね。っていうか別に僕犬嫌いじゃないし。

「ねこ、クラ、ス」
「ああ、えーと…Eだったかな?」

 この学園は、成績によってクラス分けされるらしい。頭が一番いいクラスはS、その反対がEだ。Sには優等生、Eには不良か頭の出来が最強に悪い人しかいないのだという。つまり僕はその不良(+α)ばかりのクラスに入るということなんだよね。
 僕は決して頭が悪いわけでも不良なわけでもないんだけど、まだこの世界のことよく理解できてないからEが妥当なんだよね。ということで一番頭の悪い所謂「落ちこぼれ」クラスを選んだってわけだ(選んだのは言わずもがなYだ)。
 思い出すように顎に手をやって首を傾げると、目に見えて顔が輝きだした。図体でかいのに何だか可愛い。癒されるっていうか…和むな。

「おれ、一緒!」

 「でも、アイツ、一緒」今度は眉を顰めて続けた。アイツって誰かな。表情から考えてモトヤの嫌いな奴だよね。
 ……あれ、そういえばYは僕を監視すると言っていたけど、じゃあクラスはどうなんだろう。向こうから聞いてないし、僕からも訊いてないけど、監視すると言った以上同じクラスなんだろうな。考えていると、モトヤが袖をちょこんと引っ張ってきた。

「ねこ、」
「ん? 何?」
「お手」

 モジモジと恋する乙女のように頬を染め、満面の笑みでモトヤは言った。……やっぱり友達になるの考え直そうかな。……っていうかそれやるの犬だよ!

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