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 取り敢えずドアノブを捻ってそれにカードキーを当ててみるも何も反応なし。……だよね、うん、分かってたよ。ていうか横でニヤニヤするんじゃないよ、Y。だからキャラ被ってるって!
 今度はカードキーを色んなところに翳したりしてみた。結果は言わずもがな駄目で、僕は柄にもなく焦った。
 目敏く額に浮かんだ汗を見つけたYは素早く僕の手からカードキーを奪い、それを小さい長方形の穴みたいな所に差し込んだ、ピッという機械音がして、ランプが赤から青に変わった。へーえ、そうやって開けるんだ…。って、そんなの短時間で分かる訳ないでしょ!

「可愛かったゼー」
「…趣味悪いよ」
「それはお互い様ってやつダロォ?」

 まあそんな感じで、僕は結局屈辱的な思いをした。頑張ったんだよ、僕。なのにさ、自分だけ楽しむなんて酷いよね。あーあ、全く、溜息吐いちゃうよ。








 さて、部屋に入ってみると知らない物で溢れかえっていた。それにしても自然の中で暮らしていた僕にとってちょっと居心地悪いかな、ってのが第一印象。我が儘言ってられないから我慢するけど。取り敢えず上がれよと言われて上がろうとしたけど、靴を脱げと言われた。女王は靴なんか脱いでなかったと思うんだけど。文化の違いってやつ?
 そして小さいテーブルの横に座り、いよいよ勉強し始めたわけだけど。日本語の読み書きが出来なければ何も出来ないということで必然的に教科は国語。五十音から始まって漢字ドリル(問題集といって、沢山の問題が書かれたものらしい。それを、知識を使って空欄を埋める)を渡され、出来るだけ早くやっとけ、と忠言を頂いた。ここでの常識らしいから、知っておかないとやっぱり変に思われるよね。うん、ちゃんとやっておこう。僕は早速五十音を書き始めた。

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