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りゅーいちくんがモトヤが睨み合っているのを眺めていると、ヤマネが僕の肩を叩いた。
「ん? なあに?」
「ちょっと話がある」
ヤマネが僕をじっと見つめる。僕は数秒ヤマネの目をじっと見てから、口角を上げる。
「……いいよ」
「お前の部屋で良いな」
「もちろん。アリスも一緒でいいよね?」
「ああ」
「私も?」
アリスが不安そうにヤマネと僕を見上げてくる。僕はりゅーいちくんとモトヤをちらりと見て、アリスの背中を押す。りゅーいちくんたちが気づく前に、部屋に入った方がいいな。
「わ、わ、チェシャ、押さないで」
アリスが慌てて行ってくるのを聞き流してぐいぐいと背中を押していった。
パタン、とドアが音を立てて閉まる。アリスをベッドに座らせて、その隣に僕も座る。ヤマネは壁に背を預けて腕を組んだ。
「――お前に一つ確認したいことがある」
「うん。いいよ。何かな?」
僕は答えながら、――来るであろう言葉を確信していた。
「お前は、…ワンダーランドに帰りたいと、思っているのか」
「え…な、何言ってるの?」
アリスが戸惑ったように目を瞬かせて、僕とヤマネを交互に見遣る。やっぱりね、と思いながら首を傾げるポーズをとる。
「ヤマネはどう思うの?」
「……分からねえから訊いてるんだ」
「――迷ってる、って言ったらどうする?」
「チェシャ!?」
驚きを含むアリスの声。僕とヤマネはじっと見つめ合った。
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