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「けっ、犬が」

 りゅーいちくんがモトヤを睨み、舌を打つ。モトヤもりゅーいちくんを睨み返した、

「……なんでここにいる。お前、ちがう」
「別に俺がいてもいいだろーが。ここはお前だけの部屋じゃねえだろ」
「ねこ……」

 しょんぼりした顔でモトヤが僕を見下ろす。僕はにこりと笑って口にした。

「りゅーいちくんは僕が呼んだんだよ」

 モトヤは更にしょんぼりとして、りゅーいちくんはそんなモトヤを馬鹿にしたように鼻で笑った。









 あ。と思わず声が出る。そういえば、Yに会ったんだけどヤマネに言った方がいいかなあ。Yのこと気になってたし。レンのことだって――いや、レンはいいや。

「どうしたの?」

 アリスが可愛らしく首を傾げる。僕は口角を上げて首を振る。

「なんでもないよ」
「ほんとかなぁ」
「ほんとほんと」

 アリスが困ったように笑う。アリスの頭を撫でていると、視線が僕の手に突き刺さった。りゅーいちくんとモトヤだ。この二人嫉妬深いなあと思いながら、僕は手を止めなかった。

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